車検システムとは|整備工場の車検の受付から案内、記録までをつなぐ仕組み
車検システムは、車検の受付から入庫予約、点検整備の記録、保安基準適合証の発行やOSS申請、次回の車検案内までを、1台の車両の情報としてつなぐ仕組みです。2025年4月には車検を受けられる期間が満了日の2か月前からに延び、2024年10月にはOBD検査が始まりました。2023年1月からは電子車検証の交付も進み、車検の満了日は車検証の券面ではなくICタグで確かめる時代になっています。この記事では、車検にかかわる制度の変化を国土交通省と軽自動車検査協会の資料で確かめたうえで、整備工場が車検システムに求める機能と、製品を比べるときの確認点を整理します。
この記事で確認した一次情報:国土交通省(車検の受検期間の延長、OBD検査、電子車検証、記録簿の電磁的保存)、e-Gov法令検索(道路運送車両法第61条)、軽自動車検査協会(令和7事業年度の主要施策)。製品の機能は各メーカー公式サイトと日本カーネットの比較表によります。確認日は2026年10月です。
車検システムとは(整備システムとの関係)
車検システムとは、整備工場が継続検査を受け付けてから次の車検を案内するまでの業務を、顧客と車両のデータで一続きに管理するソフトのことです。中身は、車検証の情報の登録、見積と整備伝票の作成、点検整備記録簿の記入、指定工場であれば保安基準適合証の発行とOSS申請、車検満了日の管理と案内状の出力といった機能の集まりです。市販の整備システムの多くはこれらを標準で備えていて、「車検システム」という名前の単独製品より、整備システムの車検機能として導入する形が一般的です。検査業務だけを受け持つ製品もあり、タジマの取扱商品一覧には「スーパー検査員(クラウド型 車検・点検支援システム)」が整備システムとは別の行で載っています。日本カーネットが作成した整備システム40製品の比較表も、車検に関係する項目として電子車検証とOSSへの対応を重要確認項目に入れています。
言い換えると、車検システムを探すことは、自社の車検の流れに合う整備システムを探すことにほぼ等しくなります。整備システム全体の比べ方は整備システム比較表と導入前に確認すべき8項目にまとめています。
車検の有効期間と受検できる期間(2025年4月の改正)
車検証の有効期間は道路運送車両法第61条で決まっていて、自家用乗用自動車は初回3年、2回目以降は2年です。軽自動車を除く事業用自動車や貨物自動車などは1年で、車両総重量8トン未満の貨物自動車は初回だけ2年になります。この満了日に対して継続検査を受けられる期間が、2025年4月1日から変わりました。国土交通省は年度末の車検の混雑を緩和し、自動車整備士の働き方を改善するため、道路運送車両法施行規則を改正し、満了日の2か月前から満了日までに受検しても残りの有効期間が失われないようにしています。改正前は1か月前からでした。国土交通省の例では、満了日が令和7年6月15日の車は令和7年4月15日以降に受検できます。車検システムの側では、次回満了日の計算が早めに受けた場合でも正しく行えるか、案内状を出す時期の設定を2か月前基準に変えられるかが確認点になります。
| 自動車の区分(道路運送車両法第61条) | 初回 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 自家用乗用自動車(軽を含む)、二輪の小型自動車 | 3年 | 2年 |
| 軽の貨物自動車など、上記以外の自動車 | 2年 | 2年 |
| 車両総重量8トン未満の貨物自動車など(軽自動車を除く) | 2年 | 1年 |
| 事業用自動車、8トン以上の貨物自動車など(軽自動車を除く) | 1年 | 1年 |
メーカーの公式サイトにも、この改正への対応が書かれています。ブロードリーフはMaintenance.cについて、車検を2か月前に受けても次回車検満了日の月に正しくセットする処理を2025年3月のアップデートで対応済みとしています。DICは新一等書記官の機能として「令和7年4月1日施行の道路運送車両法改正に対応」と記載しています。自社のシステムがどう扱うかは、販売店に確認するのが確実です。
車検システムが受け持つ業務(受付から次回案内まで)
車検の1サイクルは、案内、予約、受付、点検整備、検査と申請、納車と精算、記録の保存の7つの工程に分けられます。車検システムが役に立つのは、最初の受付で入れた車両情報が最後の記録と次回の案内まで自動で引き継がれる点です。たとえば電子車検証の情報を受付で取り込めば、見積書、整備伝票、点検整備記録簿、保安基準適合証に同じ車台番号と型式が載り、次回の満了日も計算されます。紙と表計算ソフトで回していると、同じ車台番号を帳票ごとに書き写すことになり、そこが入力ミスの出どころになります。工程ごとに、どの機能が受け持つのかを下の手順で確かめてください。
1. 車検案内
満了日が近い車両を抽出し、はがき、SMS、LINEなどで案内します。満了日の管理が正確でないと案内そのものが漏れます。
2. 入庫予約
希望日と代車の要否を受け、作業場と検査ラインの空きに割り当てます。予約表と顧客データがつながっているかを確認します。
3. 受付と車検証の取込
電子車検証のICタグやQRコードから車両情報を取り込み、前回の整備履歴と走行距離を呼び出します。
4. 見積と点検整備
法定費用と整備費用を分けて見積を作り、了承を得てから作業します。作業の結果は点検整備記録簿に記録します。
5. 検査と申請
指定工場は保安基準適合証を発行し、OSSで継続検査を申請します。認証工場は運輸支局や軽自動車検査協会に車両を持ち込みます。
6. 納車と精算
整備伝票から請求書を作り、法定費用の立替分と整備料金を分けて精算します。
7. 記録の保存と次回設定
記録簿を保存し、新しい満了日をもとに次回の案内予定を自動で登録します。
車検案内の出し方はがきとSMS、LINEの使い分けは車検案内はがき・SMS・LINEの使い分けで詳しく扱っています。
指定工場と認証工場で変わる車検システムの機能
車検システムに求める機能は、指定工場か認証工場かで大きく変わります。指定工場は自社の検査員が保安基準への適合を証明し、保安基準適合証と保安基準適合標章を交付できるため、適合証の発行、指定整備記録簿、OSS申請までをシステムで行う場面が多くなります。保安基準適合証の有効期間は検査をした日から15日間で、指定整備記録簿の保存期間は2年です。登録自動車の継続検査もOSSで申請でき、OSSでの申請には電子の保安基準適合証が前提になります。軽自動車では、軽自動車検査協会が2019年5月に継続検査OSSの運用を始め、2025年3月時点のオンライン利用率は47.2%、目標は60%と公表しています。認証工場は車両を検査場へ持ち込むため、検査予約と書類の印刷、点検整備記録簿の管理が中心です。
| 機能 | 指定工場 | 認証工場 |
|---|---|---|
| 保安基準適合証と適合標章の発行 | 必要(有効期間は検査日から15日間) | 使わない |
| 継続検査のOSS申請 | 多くの工場で利用。電子保適が前提 | 持込検査が中心 |
| 指定整備記録簿 | 作成し2年間保存 | 使わない |
| 点検整備記録簿 | 作成 | 作成 |
| 検査場の予約と申請書類の印刷 | 工場による | 必要 |
日本カーネットの比較表では、OSS(電子保適、ワンストップサービス)への対応に○が付いている製品は40製品中11製品です。表の「-」は比較表に記載がないという意味で、未対応を示すものではありません。OSSと電子車検証の対応の見分け方は電子車検証・OSSに対応した整備システムの見分け方にまとめました。
OBD検査と電子車検証への車検システムの対応
OBD検査は、車載式故障診断装置の診断結果を検査用スキャンツールで読み取る検査で、国産車は2024年10月、輸入車は2025年10月から車検の項目に加わりました。国土交通省によると、対象は2021年10月以降(輸入車は2022年10月以降)にフルモデルチェンジした車です。検査はスキャンツールで行うため、車検システムに求められるのは対象車の判定と結果の記録です。DICは新一等書記官の機能に「OBD対象車判定」を挙げ、ブロードリーフはMaintenance.cの特徴として特定整備やOBD車検、車検証のIC化への対応を書いています。電子車検証は登録車が2023年1月4日、軽自動車が2024年1月から交付されています。有効期間の満了日や所有者の住所はICタグにだけ記録され、券面には印字されません。車検システムに満了日を正しく入れるには、ICタグの情報を読み取って取り込む仕組みがあるかどうかが効いてきます。
日本カーネットの比較表で電子車検証への対応に○が付いている製品は9製品で、OSSと電子車検証の両方に○が付いている製品も同じ9製品です。電子車検証の詳しい仕組みは電子車検証の解説サイトでも紹介しています。
記録簿の電子保存は検査場での提示に注意
国土交通省の取扱いでは、記録簿を電子で作成、保存する場合も、運輸支局や軽自動車検査協会で検査を受けるときの提示は書面とされています。持込検査の多い認証工場では、記録簿を印刷できる形で出力できるかを確かめてください。
車検システムを選ぶときの確認項目
車検システムを比べるときは、機能の数を並べるより、自社の車検の流れのどこを任せたいかを先に決めると選びやすくなります。年間の車検台数が多い指定工場なら、電子車検証の取込とOSS申請、保安基準適合証の発行が同じ画面でつながっているかが作業時間を左右します。認証工場なら、満了日の管理と案内状、点検整備記録簿の出力が中心です。そのうえで、日本カーネットの比較表が重要確認項目に挙げている8項目のうち、他社切替時のCSV出力、契約期間中のアップデート、インボイス制度、IT導入補助金の対象かどうかも見ておきます。比較表で契約期間中のアップデートに○が付いている製品は9製品で、法改正のたびに追加費用がかかるかどうかは製品で差があります。下の表は、車検に関係する確認項目を工程ごとに並べたものです。
| 確認項目 | 確かめる中身 |
|---|---|
| 満了日の計算と案内 | 初回3年や8トン未満貨物の初回2年を区別できるか。2か月前の受検でも次回満了日が正しいか |
| 車検証の取込 | 電子車検証のICタグ情報、QRコード、閲覧アプリの出力ファイルのどれから取り込めるか |
| OSSと保適証 | 電子保適の発行とOSS申請データの作成ができるか(指定工場) |
| 記録簿 | 点検整備記録簿と指定整備記録簿を電子で保存し、書面でも出力できるか |
| OBD検査 | 対象車の判定や結果の記録欄があるか |
| 法改正への追随 | 契約期間中のアップデートが含まれるか。費用がかかるか |
日本カーネットのDREAM POWERは、比較表でOSSと電子車検証の両方に○が付いている製品の1つです。データは工場内のパソコンに置くインストール型で、比較表の契約期間のアップデート更新は「○ 無料」です。製品ごとの位置づけは整備システム製品一覧で確認できます。
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車検の台数、指定工場か認証工場か、いま使っているシステムの車検機能で困っている点をお聞きし、比較表の40製品から合いそうな製品を中立の立場でご案内します。
車検システムに関するよくある質問
- 車検システムと整備システムは別の製品ですか?
- 多くの整備システムは、車検の見積、整備伝票、点検整備記録簿、次回車検の管理を標準の機能として持っています。車検の受付やOSS申請だけを受け持つ製品もあり、タジマの取扱商品一覧ではスーパー検査員が「クラウド型 車検・点検支援システム」として整備システムとは別に並んでいます。自社で必要なのが帳票と顧客管理まで含む仕組みか、検査業務だけかで選ぶ製品が変わります。
- 車検は満了日の何か月前から受けられますか?
- 2025年4月1日から、車検証の有効期間満了日の2か月前から満了日までに継続検査を受けても、残りの有効期間が失われなくなりました。国土交通省は、満了日が6月15日の車であれば4月15日以降に受検できる例を示しています。改正前は1か月前からでした。
- 自家用乗用車の車検の有効期間は何年ですか?
- 道路運送車両法第61条により、自家用乗用自動車は初めて車検証が交付されるときは3年、その後は2年です。軽自動車を除く事業用の自動車や貨物の自動車などは1年で、車両総重量8トン未満の貨物自動車は初回が2年になります。車検システムには、車種と用途から次回の満了日を正しく計算できるかを確認してください。
- OBD検査に対応した車検システムが必要ですか?
- OBD検査は国産車が2024年10月、輸入車が2025年10月から始まりました。対象は2021年10月以降(輸入車は2022年10月以降)にフルモデルチェンジした車で、車検証の備考欄に記載があります。検査そのものは検査用スキャンツールで行うため、車検システム側では対象車の判定と記録が主な役割です。DICは公式サイトで「OBD対象車判定」機能を挙げています。
- 点検整備記録簿を電子で保存してもよいですか?
- 国土交通省は、点検整備記録簿、特定整備記録簿、指定整備記録簿を電磁的方法で作成、保存する場合の取扱いを示しています。検索できること、作成や更新の日時と作業者が自動で記録されること、改ざんを防ぐこと、バックアップを取ることなどが求められます。運輸支局などで検査を受けるときに提示する記録簿は書面です。
- 整備システムと車両販売システムは、まとめて選んだほうがよいですか?
- 車検・点検の入庫と中古車・新車の販売を両方行う工場では、自動車整備システム(自動車整備ソフト)と車両販売システム(車販ソフト)が同じ顧客データを使えるかを確かめると二重入力が減ります。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなし(月払)で始められるかも確認してください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月確認)。製品の機能は各メーカー公式サイトの記載によります。
- 国土交通省 報道発表「来年4月より、車検を受けられる期間が延びます」:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000645.html
- 国土交通省 車検の有効期間を更新するためには:https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/inspection/index.html
- e-Gov法令検索 道路運送車両法(第61条):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 国土交通省 OBD検査とは?(ユーザー向け):https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_OBD_user.html
- 国土交通省 電子車検証特設サイト 電子車検証について:https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/user/about/
- 国土交通省 点検整備記録簿等の電磁的方法による作成、保存又は交付に関する取扱い:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/images/kirokubodensika.pdf
- 軽自動車検査協会 令和7事業年度における主要施策について:https://www.keikenkyo.or.jp/Portals/0/files/topics/250425kisyashiryou.pdf
- ブロードリーフ 自動車関連業向け商品一覧:https://www.broadleaf.co.jp/products/auto/
- ブロードリーフ Maintenance.c:https://next.broadleaf.co.jp/product-maintenance_c/
- ディーアイシージャパン 整備システム:https://www.dicjapan.co.jp/products/maintenance-system/
- タジマ 取扱商品:https://www.tjk.co.jp/product/
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