AIRAS・AINASとは|整備システムとの連動で減る車検の入力と対応製品の見分け方
AIRAS(エアラス)とAINAS(エイナス)は、指定整備工場が車検の継続検査を電子で進めるときに使う2つのシステムの呼び名です。AIRASは電子保安基準適合証(電子保適証)と電子化した自賠責保険の情報を受け付ける側、AINASは継続検査のOSS申請を申請代理人へつなぐ側を受け持ちます。どちらも整備工場が画面に1台ずつ打ち込んで使えますが、整備システムと連動させると、記録簿や車両台帳に入れた内容をそのまま送れるようになります。この記事では、2026年10月に国土交通省、日本自動車整備振興会連合会(日整連)、各メーカーの公式ページで確かめた記載をもとに、AIRASとAINASの役割、整備システムとの連動で減る作業、連動する製品の見分け方を整理しました。
この記事で確認した一次情報:国土交通省「継続検査OSS導入の手引き」、国土交通省の令和8年度整備主任者研修 法令研修教材、日整連自動車情報サイト(継続検査OSS関連窓口と整備業務システム会社向け情報)、日整連の電子保安基準適合証システム ファイル転送利用規約と連接試験のフロー、日本カーネットと麒麟ソフトウェア、北陸システムセンターの製品ページ。確認日は2026年10月です。公益財団法人自動車情報利活用促進協会のサイトは確認日にメンテナンス中で、AINASの説明は日整連の案内から引いています。
AIRASとは(電子保安基準適合証と自賠責情報の受け先)
AIRASとは、指定整備工場が発行する保安基準適合証と、電子化した自賠責保険の契約情報を受け付ける登録情報処理機関のシステムを指す呼び名です。国土交通省の「継続検査OSS導入の手引き」は、継続検査OSSの概要図で、自賠責情報と電子保安基準適合証の送り先を「登録情報処理機関(AIRAS)」と表記しています。工場の入口になるのは、日整連が提供する保適証サービス(電子保安基準適合証システム)です。日整連自動車情報サイトによると、保適証サービスでは保安基準適合証と適合標章の作成、交付、照会、管理簿の出力ができ、稼働時間は8時から20時です。自賠責の情報は、保険代理店でもある指定整備事業者がe-JIBAIなどで契約手続を行い、その契約データを登録情報処理機関に登録する流れだと手引きは説明しています。整備システムのメーカーは、この保適証サービスとの連携を「AIRAS連携」「電子保適システム(AIRAS)と連動」のように書いています。
手引きの本文では登録情報処理機関を「AIRAC」とも表記しており、日整連自動車情報サイトは、完成検査終了証や譲渡証明書、自賠責などの証明書の電子化の窓口として、一般財団法人自動車検査登録情報協会の自動車情報管理センター(AIRAC)へのリンクを置いています。検索や販売店との会話でAIRASとAIRACが混ざっても、整備工場の実務で指すものは同じ電子保適証と自賠責情報の流れだと考えて差し支えありません。
AINASとは(OSS申請共同利用システム)
AINASとは、公益財団法人自動車情報利活用促進協会が運用する「OSS申請共同利用システム」のことで、指定整備工場が継続検査のOSS申請を申請代理人に依頼するときの窓口になります。日整連の継続検査代理申請サービスを使う工場は、AINASに依頼データを登録し、更新や照会、申請データと申請ステータスの照会を行います。日整連自動車情報サイトに書かれたAINASの稼働時間は7時から22時(年末年始などを除く)です。使うパソコンには「AINASクライアント証明書」が要り、初期設定のデータは日整連・継続検査OSS管理システムからダウンロードします。料金も決まっていて、日整連は2026年6月12日のお知らせで、AINAS利用料金の値上げに伴い、継続検査代理申請サービスの料金を代理申請1件178円から218円(税込)に改定し、2026年9月1日以降に手続が完了した申請から適用すると案内しました。
| 項目 | AIRAS(保適証サービス側) | AINAS |
|---|---|---|
| 受け持つこと | 電子保安基準適合証と自賠責情報の受付、照会への回答 | 継続検査のOSS申請を申請代理人へ依頼する |
| 工場が使う入口 | 日整連の保適証サービス、保適証利用者管理サービス | OSS申請共同利用システム(クライアント証明書が必要) |
| 運営・提供 | 保適証サービスは日整連。登録情報処理機関は自検協の自動車情報管理センター(AIRAC)として案内 | 公益財団法人自動車情報利活用促進協会 |
| 稼働時間(日整連の案内) | 8時から20時 | 7時から22時 |
| 工場で毎回発生する入力 | 保適証の項目、適合標章の交付 | 依頼データの登録と、申請ステータスの確認 |
電子保適証や継続検査OSSの制度そのものは、継続検査OSSの解説と保安基準適合証の電子化への対応で詳しく扱っています。この記事は、整備システムとの連動に絞って進めます。
AIRASとAINASを使う車検の流れ
AIRASとAINASは、同じ車検1台の中で順番に登場します。国土交通省の手引きは継続検査OSSの準備を、自賠責情報の電子化、保安基準適合証の電子化、申請代理人の選任、検査手数料と自動車重量税の電子納付、整備業務システムの導入、新旧車検証の交換の6つに整理しています。このうち工場の中で毎回発生するのは、自賠責情報の登録、電子保適証の登録、申請の依頼の3つで、前の2つがAIRAS、最後の1つがAINASに当たります。手引きは、保適証の作成に要する時間が紙と比べて3分の1程度になったという事業者の声を紹介しており、短くなった分を経理や営業に回せたという声も載っています。逆に言えば、この3つの入力を整備システムから流せない工場では、AIRASとAINASの画面に同じ車両の情報を打ち直す作業が残ります。
受付と自賠責の手続
車検証の情報を取り込み、e-JIBAIなどで自賠責の契約手続を行います。契約データは登録情報処理機関(AIRAS)に登録されます。
点検整備と検査
点検整備記録簿を作り、自動車検査員が保安基準への適合を確かめます。
電子保適証の登録(AIRAS)
保適証サービスに保安基準適合証を登録し、適合標章を交付します。
OSS申請の依頼(AINAS)
AINASに依頼データを登録し、申請代理人が継続検査を申請します。審査の進み具合もAINASで照会します。
請求と次回の案内
検査手数料と重量税を含めて請求し、新しい満了日を車両台帳に反映して次の車検案内につなげます。
整備システムとAIRAS・AINASの連動で楽になる作業
整備システムとAIRAS、AINASの連動とは、整備システムの顧客と車両のデータや点検記録簿の内容を、保適証サービスへの登録とOSS申請の依頼にそのまま使える仕組みのことです。国土交通省の手引きは、保適証の電子化やOSS申請を専用サイトで1台ごとに入力するのは煩雑だとしたうえで、整備業務システムを使えば自賠責、保安基準適合証、検査申請のOSS申請を大量かつ同時に行え、QRリーダーで車検証のデータを自動で入力できると説明しています。入力ミスの面でも、整備業務システムのチェック機能によって新旧の自賠責証の期間の照合や最終検査申請日の自動計算が行われ、検査手数料や重量税額の入力が要らなくなるため入金の誤りが起きないと書かれています。毎月の車検台数が多い工場ほど、この差は月末の事務時間に表れます。
連動のしかたには2つの型があります。手引きは整備業務システムを「ネットワーク型(クラウド型)」と「スタンドアローン型」に分け、前者は入力したデータをそのままe-JIBAIや電子保適証サービス、申請代理人のシステムに送れて、申請後の審査状況もいつでも把握できる、後者は一度データをアップロードして電子化する申請補助の機能で、審査状況は専用サイトで確かめると説明しています。日整連の「電子保安基準適合証システム ファイル転送利用規約」も、保適証情報ファイルを保適証システムの画面からアップロードする「スタンドアロン型」と、整備業務システム経由で登録する「クラウド型」の2つの形態を定めています。ここでいうクラウド型は保適証システムとのつなぎ方の呼び名で、整備システム本体がブラウザ型かインストール型かとは別の話です。
| 連動の型(手引きの呼び名) | 保適証と申請の送り方 | 申請後の審査状況 |
|---|---|---|
| ネットワーク型(クラウド型) | 整備システムで入力したデータをそのまま電子保適証サービスや申請代理人のシステムへ送る | 整備システム側で随時把握できる |
| スタンドアローン型 | 整備システムで作ったファイルを、専用サイトの画面から一度アップロードする | 専用サイトで確かめる |
AIRAS・AINASに連動する整備システムの見分け方
AIRASとAINASに連動する整備システムかどうかは、公式ページの書き方と、日整連の連接試験を済ませているかで見分けます。日整連の規約では、保適証システムとファイル転送をする整備業務システムの会社は、機密保持誓約書を出してインターフェイス仕様書の開示を受け、自らの費用でシステムを作り、連接試験を受けてから利用を始めます。連接試験の料金は整備業務システム1名称ごとにクラウド型が381,942円(税別)、スタンドアロン型が70,730円(税別)と定められ、申込みから試験の実施まで1〜2か月程度かかると日整連は案内しています。公式ページの例では、麒麟ソフトウェアのエンジンⅣは「Web電子保安基準適合証システム(AIRAS)連携」と「継続検査OSS(AINAS)連携」を並べて書き、北陸システムセンターのF1ビジブルは継続審査の電子申請に対応し、電子保適で申請済みならワンボタンで申請できると説明しています。
日本カーネットの比較表では、40製品のうちOSSの欄に○が付いている製品が18製品あります。表の「記載なし」は公式ページで確かめられなかったという意味で、未対応とは限りません。○が付いた製品の中でも、AIRASだけかAINASまでか、ネットワーク型かスタンドアローン型か、オプションの契約が要るかは違うため、候補を絞ったら販売店に次の5点を聞いてください。
- 電子保適証の登録はAIRAS(保適証サービス)へ直接送る形か、ファイルを作って画面からアップロードする形か
- AINASへの依頼データの登録と、申請ステータスの照会を整備システムの画面で行えるか
- 点検整備記録簿に入れた内容が、保適証の項目へ自動で転記されるか
- e-JIBAIの自賠責情報や電子車検証の読み取り結果を、同じ車両台帳で使えるか
- 連動は標準の機能か、オプションか。国や日整連の仕様が変わったときの更新は契約に含まれるか
AINASのクライアント証明書について、日整連は2022年の更新時に「整備業務システムでOSS申請業務を実施されている場合には、更新作業が不要の場合もある」として、使っている整備業務システムのヘルプデスクに確かめるよう案内しました。日整連は規約で、ファイル転送を使う整備業務システムの操作やトラブルの問い合わせは受け付けないとしているため、連動まわりで困ったときに相談できる窓口がメーカー側にあるかも、選ぶときの確認点です。
DREAM POWERは、公式サイトのOSS対応のページで「電子保適システム(AIRAS)、電子申請システム(AINAS)と連動しております」と案内しています。公式サイトのよくある質問には、電子保適、e-JIBAI、電子車検証連携についてAPIを用いたデータ連携に対応していると書かれています。連動の型と操作の流れは公開ページに書かれていないため、資料請求やデモで確かめてください。
OSSや電子車検証の欄をほかの製品と同じ項目で見比べるときは、40製品の整備システム比較表と全製品一覧をご覧ください。
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指定工場か認証工場か、月の車検台数、いまAIRASとAINASの画面に手で入力しているかをお聞きし、連動できる製品の候補と切り替えの段取りを一緒に整理します。
2028年1月の紙の保適証の原則廃止とAIRAS連動
AIRASとの連動を急いで確かめたい理由は、紙の保安基準適合証を窓口で出せる期間に終わりが示されたことです。国土交通省の令和8年度整備主任者研修の法令研修教材に載った依頼文は、運輸支局等の検査窓口の受付を令和10年(2028年)1月以降は「自動受付機」で行うこととし、紙の保安基準適合証と自賠責保険証明書の取扱いを原則廃止する予定だとして、日整連に傘下の事業者への周知を求めています。同じ文書は、平成29年の依頼でOSSかどうかを問わず保安基準適合証は原則として電磁的方法で提出するよう周知してきた経緯にも触れています。いまOSSを使っていない指定工場でも、電子保適証の登録、つまりAIRASへの送信は2028年1月までに日常の作業になる見込みです。整備システムの契約更新が2027年から2028年にかかる工場は、更新先の候補を選ぶ段階でAIRASとの連動の型を比べておくと、切り替えを1回で済ませられます。
電子車検証の取り込み方やOSSで扱える手続の違いは、電子車検証・OSSに対応した整備システムの見分け方で比べています。車検の受付から次回案内までの全体は車検システムとはにまとめました。
AIRAS・AINASと整備システムに関するよくある質問
- AIRASとAINASは同じものですか?
- 別のシステムです。AIRASは電子保安基準適合証と自賠責情報を受け付ける登録情報処理機関の側、AINASは公益財団法人自動車情報利活用促進協会が運用するOSS申請共同利用システムで、継続検査のOSS申請を申請代理人へ依頼する側です。工場が使う入口とIDの管理も分かれています。
- 整備システムがなくてもAIRASとAINASは使えますか?
- 使えます。日整連の保適証サービスとAINASの画面に1台ずつ入力すれば申請できます。国土交通省の手引きは、1台ごとの入力は煩雑な面もあるとして、顧客データベースの情報を活用する整備業務システムを使えば、より簡易かつ迅速にOSS申請の依頼ができると説明しています。
- OSSを使っていない認証工場にも関係がありますか?
- 保適証を発行するのは指定工場なので、AIRASへの電子保適証の登録は主に指定工場の作業です。認証工場が受ける影響は自賠責の扱いで、国土交通省は窓口での紙の自賠責保険証明書の取扱いを2028年1月以降は原則廃止する予定を示しています。保険の取扱い手順は、契約している保険会社や代理店に確かめてください。
- 連動にかかる費用は誰が負担しますか?
- 日整連の規約では、保適証システムとのファイル転送に使うシステムの構築と連接試験の費用は、整備業務システムの会社が負担します。工場側の費用は、整備システムの連動機能がオプションかどうかと、日整連の代理申請サービスやAINASの利用料金で決まります。2026年9月1日からの代理申請サービス料金は1件218円(税込)です。
- 整備システムと車両販売システムは、OSS連動も含めてまとめて選んだほうがよいですか?
- 車検と販売の両方を行う工場では、自動車整備システムと車両販売システムが同じ車両台帳を使えると、販売した車の車検を受けるときに車両情報を打ち直さずにAIRASやAINASへ送れます。整備システム 比較をするときは、OSSの欄の○だけでなく、連動の型とオプションの有無まで確かめてください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月確認)。料金や稼働時間は改定されることがあるため、利用の前に日整連自動車情報サイトで最新の内容を確かめてください。
- 国土交通省 北陸信越運輸局 掲載資料「自動車保有関係手続のワンストップサービス 継続検査OSS導入の手引き」:https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/nagano/pdf/2018osspanf.pdf
- 国土交通省 令和8年度 整備主任者研修 法令研修【全国共通教材】:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/002008010.pdf
- 一般社団法人日本自動車整備振興会連合会 日整連自動車情報サイト(継続検査OSS関連窓口):https://www.jaspa.or.jp/portals/ossuser/
- 日整連 整備業務システム会社向け情報:https://www.jaspa.or.jp/portals/ossuser/system.html
- 日整連 電子保安基準適合証システム ファイル転送利用規約:https://www.jaspa.or.jp/portals/pdf/u_agree4_20260401-2.pdf
- 日整連 電子保安基準適合証システム 連接試験実施までのフロー:https://www.jaspa.or.jp/portals/pdf/u_flow.pdf
- 日本カーネット DREAM POWER OSS対応:https://www.j-carnet.co.jp/system/申請書類システム/oss対応
- 日本カーネット よくある質問:https://www.j-carnet.co.jp/qanda
- 麒麟ソフトウェア エンジンⅣ:https://www.kirinsoft.jp/Engine2.html
- 北陸システムセンター F1ビジブル:https://www.h-s-c.or.jp/detail_visible.html
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