自動車整備・車検の請求書テンプレート|エクセルで作る項目と適格請求書の書き方
自動車整備や車検の請求書は、エクセルの無料テンプレートでも作れます。ただし整備の請求書には、消費税が掛かる工賃や部品と、消費税が掛からない自賠責保険料や自動車重量税、印紙代が同じ1枚に並びます。汎用の請求書テンプレートにそのまま打ち込むと、法定費用にまで10%が掛かって合計が合わなくなります。この記事では、車屋や整備工場がエクセルで請求書を作るときの項目と配置、適格請求書(インボイス)として必要な記載、消費税の端数処理の式、そして無料テンプレートから請求書ソフトや整備ソフトに切り替える目安を順に説明します。
この記事で確認した一次情報:国税庁(インボイス制度特設ページ、適格請求書等保存方式に関するQ&A 令和8年5月改訂、タックスアンサーNo.6201 非課税となる取引、No.7192 自動車重量税のあらまし)。確認日は2026年10月です。税務の個別の判断は税理士に確認してください。
自動車整備の請求書テンプレートに入れる項目と配置例
自動車整備の請求書テンプレートは、上から「宛名と発行者」「車両情報」「作業明細」「法定費用」「合計」「振込先と備考」の6つの枠に分けると、エクセルでも崩れにくくなります。一般の請求書と違うのは、車両を特定する欄と、消費税が掛からない法定費用の枠がある点です。車両情報には、登録番号(ナンバー)、車名と型式、車台番号、入庫時の走行距離を入れます。車台番号まで入れておくと、ナンバーが変わった後でも同じ車の履歴として探せます。作業明細は工賃(技術料)と部品を行で分け、1行に作業名か部品名、数量、単価、金額を置きます。下の表は、そのままエクセルの行に写せる配置の例です。インボイス制度で必要になった登録番号は、発行者名の近くに置くと見落としがありません。
| 枠 | 入れる欄 | 書き方の例 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 1. 宛名と発行者 | 宛名、発行日、請求書番号、発行者名、住所、電話、登録番号 | ○○様/2026年10月5日/No.2026-1005-01/T+13桁 | ― |
| 2. 車両情報 | 登録番号(ナンバー)、車名、型式、車台番号、走行距離、入庫日 | 品川500あ1234/○○/型式/車台番号/58,200km | ― |
| 3. 作業明細(工賃) | 作業名、数量、単価、金額 | 24か月定期点検、ブレーキパッド交換 など | 10% |
| 3. 作業明細(部品) | 部品名、品番、数量、単価、金額 | ブレーキパッド(フロント)、エンジンオイル、オイルフィルター | 10% |
| 3. 代行料など | 車検代行料、陸運支局への持込料など自社の作業 | 検査代行料 | 10% |
| 4. 法定費用 | 自賠責保険料、自動車重量税、印紙代(検査手数料) | 保険会社と納付書の金額をそのまま写します。 | 対象外 |
| 5. 合計 | 10%対象の小計、消費税額、対象外の小計、ご請求額 | 計算式は下の項で説明します。 | ― |
| 6. 振込先と備考 | 支払期日、振込先、次回点検の時期 | 振込手数料の扱いもここに書きます。 | ― |
エクセルで作るなら、作業明細の列は「A:No」「B:区分(工賃、部品、対象外)」「C:作業名・部品名」「D:品番」「E:数量」「F:単価」「G:金額(=E×F)」の7列にしておくと集計がしやすくなります。B列の区分を見て、後で税率ごとの合計を自動で出せるからです。
車検の請求書で法定費用を分ける理由(非課税と課税対象外)
車検の請求書では、自賠責保険料、自動車重量税、印紙代を消費税の掛からない枠に分けて書きます。国税庁のタックスアンサーNo.6201は、非課税となる取引として「保険料」と、国や地方公共団体などが法令に基づいて行う登録や検査などの事務の手数料を挙げています。自賠責保険料は前者、検査の手数料(印紙代)は後者にあたります。自動車重量税は、No.7192にあるとおり車検証の交付などを受けるときまでに納める国税で、税金そのものに消費税は掛かりません。整備工場がこれらをお客様から預かって納めているのが一般的な流れです。一方、車検の代行料や持込みの手数料は工場自身の作業の対価なので、工賃と同じ10%の枠に入れます。法定費用まで10%の枠に入れてしまうと、たとえば法定費用の合計が数万円あれば、消費税だけで数千円多く請求することになります。
- 工賃(技術料)は自社の作業の対価なので、10%の対象に入れます。
- 部品と油脂類は自社が販売する物なので、10%の対象に入れます。
- 車検代行料や持込料も自社の作業の対価で、10%の対象です。
- 自賠責保険料は保険料で、非課税の取引として対象外の枠に置きます。
- 印紙代(検査の手数料)は法令に基づく行政手数料で、非課税の取引として対象外の枠に置きます。
- 自動車重量税は国税そのもので、消費税の課税対象外として対象外の枠に置きます。
国税庁のQ&Aでは、課税対象外の取引について適格請求書の交付義務はないものの、適格請求書に併せて記載してもよいとされています。その場合は、対象外の金額を除いたうえで税率ごとの合計を書きます。リサイクル料金のように内訳によって扱いが分かれるものは、顧問の税理士に区分を確かめてから枠を決めてください。
適格請求書(インボイス)の記載事項と整備請求書での書き方
適格請求書の記載事項は、国税庁のQ&A問54で6つに定められています。発行者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引の内容、税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率、税率ごとに区分した消費税額等、交付を受ける事業者の氏名または名称です。登録番号は「T」に13桁の数字が続く形で、法人は法人番号の前にTを付けた番号になります。整備の請求書では、軽減税率8%の品目はほぼ出てこないため、税率の欄は10%と対象外の2つで足りることが多くなります。ただし車検の待ち時間に飲み物や食品を販売した場合など、8%の品目を同じ請求書に載せるときは、8%の行に印を付けて合計と消費税額を別に出します。取引年月日は、作業を終えて車を引き渡した日を書くのが自然です。月締めでまとめて請求する法人のお客様には、作業日ごとの明細と月の合計を1枚に載せます。
| 記載事項(国税庁Q&A問54) | 整備請求書での書き方 |
|---|---|
| ① 発行者の氏名または名称と登録番号 | 工場名の下に「登録番号 T+13桁」と書きます。 |
| ② 取引年月日 | 作業完了日か引渡し日を書きます。月締めなら作業日ごとの明細を付けます。 |
| ③ 取引の内容(8%品目はその旨) | 作業名と部品名を明細に並べ、8%品目には印を付けます。 |
| ④ 税率ごとに区分した合計と適用税率 | 「10%対象 ○○円」と書き、対象外の金額は含めません。 |
| ⑤ 税率ごとに区分した消費税額等 | 「消費税(10%)○○円」と書きます。 |
| ⑥ 交付を受ける事業者の氏名または名称 | お客様の氏名か会社名を書きます。 |
宛名を省ける適格簡易請求書は、小売業や飲食店業、タクシー業などに認められた様式で、国税庁の説明で挙げられた業種に自動車整備業は入っていません。整備や車検の請求書は宛名入りで作っておきます。自社の登録番号は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで検索すると、印字した番号に誤りがないか確かめられます。
エクセルで作る請求書テンプレートの計算式と端数処理
エクセルの請求書テンプレートで間違いが起きやすいのは、消費税の端数処理です。国税庁のQ&A問57では、適格請求書に書く消費税額等の1円未満の端数は、一の請求書につき税率ごとに1回処理するとされています。明細の行ごとに消費税を出して切り捨て、それを足し合わせる方法は認められていません。処理の方法は切り捨て、切り上げ、四捨五入のどれでもかまいませんが、毎回同じにします。エクセルでは、B列の区分ごとに金額を集計するSUMIFで10%対象の小計を出し、その小計に0.1を掛けて1回だけROUNDDOWNを掛ける形にすると、行を増やしても規則どおりの計算になります。対象外の小計は別のセルで集計し、最後に「10%対象の小計+消費税+対象外の小計」をご請求額にします。
| セル(例) | 入れる式 | 意味 |
|---|---|---|
| G列(各行の金額) | =E12*F12 | 数量に単価を掛けます。 |
| 10%対象の小計 | =SUMIF(B12:B40,”工賃”,G12:G40)+SUMIF(B12:B40,”部品”,G12:G40) | 工賃と部品を合計します。 |
| 消費税(10%) | =ROUNDDOWN(10%対象の小計のセル*0.1,0) | 税率ごとに1回だけ端数を処理します。 |
| 対象外の小計 | =SUMIF(B12:B40,”対象外”,G12:G40) | 自賠責保険料、重量税、印紙代を集めます。 |
| ご請求額 | =10%対象の小計+消費税+対象外の小計 | お客様が支払う金額になります。 |
SUMの範囲を手で決めている表は、行を挿入したときに範囲から外れる行が出ます。上の例のように範囲を最初から広めに取っておくか、エクセルの「テーブル」機能に変えておくと、行を足しても合計が狂いません。値引きをする場合は、値引きの行も10%対象か対象外かを決めて区分の列に入れておきます。
車屋の請求書で起きやすいミスと控えの保存
車屋や整備工場の請求書で多いミスは、法定費用への課税、テンプレートの古い版の使い回し、控えの紛失の3つです。インボイス制度が始まった2023年10月1日より前に作られた様式には、登録番号の欄も税率ごとの消費税額の欄もありません。ネットで拾ったテンプレートを使う場合は、まず前の2つの項で挙げた欄と式があるかを確かめます。控えについては、適格請求書発行事業者は交付した適格請求書の写しを保存する決まりで、期間は課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年です。エクセルで作ってPDFにして送っている場合は、発行した日付と請求書番号でファイル名を付け、パソコン1台の中だけに置かないようにします。お客様から「去年の車検の明細をもう一度」と頼まれたときに、車台番号や番号で探せるかどうかが、紙やファイル運用の限界が見えやすいところです。
- 対象外の枠を作らず、法定費用にまで10%を掛けてしまう。
- 登録番号の欄が無い古いテンプレートを使い続けている。
- 明細の行ごとに消費税を切り捨て、それを足して合計している。
- 見積書の金額を請求書に打ち直すときに、部品の数量を写し間違える。
- 「請求書_最新」「請求書_最新2」とファイルが増え、どれが正しいか分からなくなる。
- 控えのPDFがパソコン1台にしかなく、故障したときにまとめて消える。
無料テンプレートと請求書ソフト(整備ソフト)の違いと切り替えの境目
無料の請求書テンプレートと、有料の請求書ソフトや自動車整備ソフトの違いは、1枚ずつ作って終わるか、顧客と車両にひも付けて残るかにあります。テンプレートはお金がかからず、月に数枚の請求書なら十分に回ります。一方で整備ソフトでは、請求書を作ると同じ車の過去の作業や次の車検の時期と一緒に残り、見積書から請求書へ数字を写す作業もいりません。インボイス制度や電子車検証のように帳票の前提が変わったときも、提供会社が更新に合わせて直します。切り替えを考える目安は、見積書から請求書への打ち直しが月に10件を超えたとき、2人以上で請求書を作るようになったとき、車検の案内を顧客台帳から出したくなったときです。費用は、削減できる時間に自社の時給を掛けた額と月額を比べると判断しやすくなります。
| 比べる点 | 無料テンプレート(エクセル) | 請求書ソフト、整備ソフト |
|---|---|---|
| 費用 | エクセルの費用だけで済みます。 | 製品により買い切り、月払、リースと分かれます。 |
| 法定費用の区分 | 枠と式を自分で作ります。 | 対象外の項目として最初から分かれている製品が多くあります。 |
| インボイスの記載 | 欄を自分で足します。 | 登録番号や税率ごとの集計を印字できるか、製品ごとに確かめます。 |
| 見積書から請求書へ | 手で打ち直します。 | 見積書から請求書に切り替えられる製品が多くあります。 |
| 過去の請求の検索 | ファイル名とフォルダから探します。 | 車両や顧客から呼び出せます。 |
| 制度の変更 | 自分で直します。 | 提供会社の更新で直ります(契約内容を確認)。 |
| データの持ち出し | ファイルなので持ち出せます。 | CSVで書き出せるかを契約前に確かめます。 |
無料で使える整備ソフトの種類と注意点は自動車整備ソフトは無料で使える?に、有料に移る場合の費用の見方は整備ソフトの料金・費用相場にまとめています。見積書の作り方は自動車整備・修理の見積書テンプレートで説明しています。
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請求書をエクセルで作り続けるか、整備ソフトに切り替えるかを、月の請求枚数と作業の人数をお聞きして一緒に整理します。インボイスの記載や法定費用の区分に対応しているかも、比較表の40製品の情報をもとにご案内します。
自動車整備・車検の請求書に関するよくある質問
- 車検の請求書で、自賠責保険料や重量税にも消費税を掛けますか?
- 掛けません。自賠責保険料は保険料、検査の手数料(印紙代)は国などが法令に基づいて徴収する手数料で、どちらも国税庁が非課税の取引に挙げています。自動車重量税は税金そのものです。請求書では「消費税の対象外」の欄にまとめ、10%を掛ける工賃や部品の合計とは別に小計を出します。
- 適格請求書に車台番号や走行距離を書く必要はありますか?
- 適格請求書の記載事項は、発行者の名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの合計と適用税率、税率ごとの消費税額等、宛名の6つで、車台番号や走行距離は含まれません。ただし整備の請求書では、どの車に作業したかを後から確かめるために、登録番号(ナンバー)、車台番号、入庫時の走行距離を載せておくと問い合わせに答えやすくなります。
- 消費税は明細の1行ごとに計算してもよいですか?
- 国税庁のQ&A問57では、消費税額等の1円未満の端数処理は、一の適格請求書につき税率ごとに1回と示されています。工賃や部品の行ごとに消費税を出して端数を処理し、それを合計する方法は認められていません。エクセルでは10%対象の小計を出してから、1回だけ切り捨てなどの処理をする式にします。
- 宛名を「上様」にした領収書でもよいですか?
- 宛名を省ける適格簡易請求書は、小売業や飲食店業、タクシー業など不特定多数を相手にする事業で認められている様式です。国税庁の説明で挙げられている業種に自動車整備業は入っていないため、整備や車検の請求書は、お客様の氏名か会社名を入れた適格請求書で作っておくのが無難です。判断に迷う場合は税理士に確認してください。
- 無料の請求書テンプレートはそのまま使えますか?
- インボイス制度が始まった2023年10月1日より前に作られたテンプレートが今も配布されています。登録番号の欄があるか、税率ごとの合計と消費税額が出る形になっているか、法定費用を消費税の対象外として分けられるかの3点を確かめ、足りなければ欄と式を足してから使います。
- 整備システムと車両販売システムは、まとめて選んだほうがよいですか?
- 車検・点検の入庫と中古車・新車の販売を両方行う工場では、自動車整備システム(自動車整備ソフト)と車両販売システム(車販ソフト)が同じ顧客データを使えるかを確かめると二重入力が減ります。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなし(月払)で始められるかも確認してください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月確認)。税制は改正されることがあるため、最新の内容は国税庁の公式情報で確かめてください。
- 国税庁 特集 インボイス制度:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
- 国税庁 適格請求書等保存方式の概要(インボイス制度の記載事項):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm
- 国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A「4 適格請求書の記載事項」(令和8年5月改訂):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-09.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.6201 非課税となる取引:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.7192 自動車重量税のあらまし:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7192.htm
- 国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト:https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/
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