自動車整備・修理の見積書テンプレート|工賃・部品・法定費用の分け方と整備料金表の作り方
自動車整備や修理の見積書は、エクセルの無料テンプレートでも作れます。ただし見積書は、お客様に金額を示すだけの紙で終わりません。認証工場が定期点検や整備を受けるときには、道路運送車両法施行規則で、必要な整備の内容を説明して概算見積りの書面を渡すことが決められています。この記事では、工賃と部品と法定費用を分けた見積書の配置例、工賃を標準作業点数から出す考え方、工場に掲示する整備料金表の作り方、見積と請求の金額が変わるときの伝え方と記録を、一次情報をもとに説明します。
この記事で確認した一次情報:道路運送車両法施行規則第62条の2の2(e-Gov法令検索)、国土交通省の通達「自動車整備事業の取扱い及び指導要領」、日本自動車整備振興会連合会(FAINES「点数表の見方」、標準作業点数表)、国税庁タックスアンサーNo.6201。確認日は2026年10月です。
自動車整備・修理の見積書テンプレートに入れる項目
自動車整備の見積書テンプレートは、「技術料(工賃)」「部品と油脂類」「法定費用と諸費用」の3つのブロックに分けると、お客様が何にいくら掛かるかを読み取りやすくなります。どのブロックも行の形をそろえ、作業名か部品名、数量(工賃なら点数)、単価、金額の4列にしておきます。車検の見積りで「思ったより高い」と言われるのは、法定費用の分がまとめて1行になっていて見えないときです。自賠責保険料、自動車重量税、印紙代は消費税が掛からないため、別の小計にします。見積書の上には、見積日、有効期限、お客様の名前、車両情報(登録番号、車名、車台番号、走行距離)を置きます。見積りの有効期限を書いておくと、部品価格が変わったときに出し直す根拠になります。下の表は、エクセルの行にそのまま写せる配置の例です。
| ブロック | 行に入れる内容 | 書き方のこつ |
|---|---|---|
| 見出し | 見積日、有効期限、見積番号、お客様名、車両情報 | 有効期限は「発行から30日」など自社で決めて書きます。 |
| 技術料(工賃) | 作業名、点数(作業時間)、単価、金額 | 作業1つにつき1行にし、点数の根拠を控えに残します。 |
| 部品と油脂類 | 部品名、品番、数量、単価、金額 | 純正、優良品、リビルト品から選べる場合は並べて示します。 |
| 法定費用と諸費用 | 自賠責保険料、自動車重量税、印紙代、代行料 | 代行料は10%の対象、残りは消費税の対象外として小計を分けます。 |
| 合計と注記 | 10%対象の小計、消費税、対象外の小計、合計 | 「分解後に追加整備が必要な場合は着手前に連絡します」と書き添えます。 |
工賃(技術料)の出し方|標準作業点数とレバレート
整備の工賃は、作業ごとの標準的な時間(点数)に、工場が決めた単価を掛けて出すのが一般的です。基準によく使われるのが、日本自動車整備振興会連合会(日整連)の標準作業点数で、車種と作業ごとに定期点検と一般整備の点数がまとめられています。日整連のFAINES「点数表の見方」によると、標準作業時間は実務経験3年程度の三級整備士が1人で作業することを基準とし、6分を0.1時間として、0.1時間未満は四捨五入しています。標準作業点数は、この標準作業時間に換算係数を掛けたものです。標準作業点数表は年版で発行され、2024年版は2023年1月から12月に発売やフルモデルチェンジされた乗用車、貨物車、バス、二輪車を収録したCD-Rで、価格は39,600円と案内されています。掛ける単価(レバレート)は各工場が決めるもので、公的な基準額はありません。
1. 作業を1つずつ行に分ける
「ブレーキパッド交換(フロント)」のように、点数が決まる単位で書きます。
2. 点数を引く
標準作業点数表や、整備ソフトに入っている点数データから該当する点数を探します。
3. 単価を掛ける
自社の整備料金表と同じレバレートを掛け、工賃の金額を出します。
4. 根拠を控えに残す
どの点数表の何年版を使ったかを控えに書いておくと、問い合わせに答えられます。
点数表を持っていない工場は、よく受ける作業だけでも自社の標準時間を決めて表にしておくと、担当者によって見積額が変わることを防げます。整備ソフトの中には、標準作業点数をオプションのデータとして引ける製品があります。
部品代と法定費用の分け方(車検見積りの場合)
部品代は品名、品番、数量、単価を1行ずつ書き、法定費用は消費税の掛からない費用として別の枠にまとめます。国税庁のタックスアンサーNo.6201では、保険料と、国などが法令に基づいて行う登録や検査の手数料が非課税の取引に挙げられています。自賠責保険料と印紙代(検査の手数料)はこれにあたり、自動車重量税は税金そのものです。一方、車検の代行料は工場の作業の対価なので、工賃と同じく10%の枠に入れます。部品は、純正品、優良品(社外品)、リビルト品で金額が大きく変わるため、選べる部品は2つの案を並べて書くと、お客様が自分で選べます。タイヤやバッテリーのように点検の結果で交換が決まる部品は、「点検の結果交換が必要な場合の目安」として別の枠に書き、合計には入れないでおくと、後で金額が増えたときの説明が楽になります。
見積書を請求書にする段階の書き方は自動車整備・車検の請求書テンプレートで、インボイスの記載事項や消費税の端数処理と合わせて説明しています。
認証工場の料金掲示と概算見積りの書面(道路運送車両法施行規則)
認証工場(自動車特定整備事業者)には、整備料金の掲示と概算見積りの書面の交付が、道路運送車両法施行規則第62条の2の2で遵守事項として定められています。第1号は、法第48条の定期点検や整備を行う事業場に、作業の料金を事業場で依頼者に見やすいように掲示し、自社で管理するウェブサイトにも載せることを求めています。ウェブサイトへの掲載は、常時使用する従業員が5人以下の場合と、自社のウェブサイトを持っていない場合は除かれます。第2号は、依頼者に必要な整備の内容とその必要性を説明し、料金の概算見積りを書いた書面を渡すか、電磁的記録で提供することを定めています。第3号は、行っていない点検や整備の料金を請求すること、依頼されていない点検や整備を不当に行って料金を請求することを禁じています。見積書のテンプレートは、この3つを満たす道具として作っておくと安心です。
| 施行規則の号 | 定めている内容 | 見積書と料金表での対応 |
|---|---|---|
| 第1号 | 定期点検や整備の料金を事業場に掲示し、自社のウェブサイトにも載せます(5人以下などは掲載を除外)。 | 整備料金表を作り、受付に貼ってホームページにも載せます。 |
| 第2号 | 必要な整備の内容と必要性を説明し、概算見積りの書面か電磁的記録を渡します。 | 作業前に見積書を渡し、控えを残します。 |
| 第3号 | 行っていない作業や、依頼されていない作業の料金を請求しません。 | 見積りに無い作業は、承諾を得てから追加します。 |
整備料金表テンプレートの作り方
整備料金表は、車の種類ごとに点検時期別の料金を並べ、その料金に含まれる作業の範囲を書いた表です。国土交通省の通達「自動車整備事業の取扱い及び指導要領」は、掲示する料金について、施行規則別表第1の自動車の種別などを例に車の種類を区分し、点検時期別の料金を書くこと、その料金で行う整備の作業内容を明確にすることを求めています。掲示する場所は、事務所の受付など依頼者の見やすい位置です。同じ事業者が複数の事業場を持つ場合は、ウェブサイトにまとめて載せてもよいとされています。料金表の作業内容が曖昧だと、見積書との差を説明しにくくなります。「24か月定期点検の基本料金に含む作業」と「部品代、油脂類、法定費用は別」の線引きを、表の下に1行で書いておくと誤解を防げます。下は、料金表をエクセルで作るときの枠組みの例で、金額の欄は自社の料金で埋めます。
| 車の種類(区分の例) | 12か月定期点検 | 24か月定期点検(車検時) | 料金に含む作業と含まないもの |
|---|---|---|---|
| 軽自動車 | 自社の料金を記入します。 | 自社の料金を記入します。 | 点検と調整の作業を含み、部品、油脂類、法定費用は別です。 |
| 小型乗用車 | 自社の料金を記入します。 | 自社の料金を記入します。 | 同上です。 |
| 普通乗用車 | 自社の料金を記入します。 | 自社の料金を記入します。 | 同上です。 |
| 小型貨物車 | 自社の料金を記入します。 | 自社の料金を記入します。 | 同上です。 |
料金表に載せる区分は、自社で多く扱う車に合わせて増減させます。料金を改定したときは、受付の掲示、ウェブサイト、見積書テンプレートの単価を同じ日に直しておかないと、店頭と見積りで金額が食い違います。
見積と請求の金額が違うときの説明と記録
見積と請求の差で揉めないためには、追加の整備が見つかった時点で連絡し、承諾を得てから作業し、その経緯を控えに残すことです。前の項の通達は、概算見積りを渡した後に、作業の途中で見積金額が変わる整備が必要になった場合、あらかじめ了解を得ているときを除き、原則として追加整備の内容と変更後の概算見積りを依頼者に連絡し、承諾を得たうえで作業するとしています。工場側の控えには、依頼者が承諾した年月日、必要になった整備の内容、変更後の概算見積りの額を書くか記録します。請求書を渡すときは、当初の見積りと追加分を並べ、どのブロックで金額が増えたのかを示すと説明が短く済みます。逆に、見積りより作業が少なく済んだ場合は、その分を減らして請求します。
- 連絡した日時と、お客様が承諾した日時を控えに書き込みます。
- 電話で承諾を得た場合は、話した相手と内容を書き残します。
- 追加の作業と部品は、当初の見積りの行とは別の行で請求書に載せます。
- 交換した部品は、求められたときに見せられるように一定期間保管しておくと説明しやすくなります。
自動車の見積ソフトを無料で探すときの確認点
自動車の見積ソフトを無料で探すときは、見積書を作った後に何が残るかを確かめます。エクセルのテンプレートや無料の見積ソフトは、1枚の見積書を作って印刷するところまでなら十分に使えます。ただし見積りから作業、請求までを同じデータで流したい場合や、標準作業点数と部品価格を引いて見積りを早く作りたい場合は、整備ソフトの見積機能のほうが向いています。たとえば見積書を作った後に請求書へ切り替えられれば、数字を打ち直す手間と転記の間違いがなくなります。無料版や体験版のある整備ソフトの例は自動車整備ソフトは無料で使える?に、月額や初期費用の見方は整備ソフトの料金・費用相場にまとめています。鈑金塗装の見積りは作業の数え方が整備と違うため、鈑金見積システムの比較は姉妹サイトの鈑金見積システム比較を参考にしてください。
| 確かめること | テンプレート、無料ソフト | 整備ソフトの見積機能 |
|---|---|---|
| 見積書から請求書へ | 手で打ち直します。 | そのまま切り替えられる製品が多くあります。 |
| 標準作業点数 | 点数表を見て手で入れます。 | データを引ける製品があります(オプションの場合あり)。 |
| 過去の見積りの検索 | ファイル名で探します。 | 車両や顧客から呼び出せます。 |
| 法定費用の区分 | 枠と式を自分で作ります。 | 対象外の項目が用意されているかを確かめます。 |
全40製品の整備システム比較表を無料でダウンロード
見積書をエクセルで作り続けるか、見積から請求までつながる整備ソフトに切り替えるかを、工場の規模と1か月の見積件数をお聞きして一緒に整理します。標準作業点数を引けるかなど、比較表の40製品の情報をもとにご案内します。
自動車整備・修理の見積書に関するよくある質問
- 整備工場は見積書を必ず出さなければいけませんか?
- 道路運送車両法施行規則第62条の2の2は、自動車特定整備事業者(認証工場)の遵守事項として、法第48条の定期点検や整備を行う事業場は、依頼者に必要な整備の内容とその必要性を説明し、料金の概算見積りを書いた書面を渡すか、電磁的記録で提供することを定めています。定期点検以外の修理でも、作業前に金額を示しておくと後の行き違いが減ります。
- 標準作業点数とは何ですか?
- 日本自動車整備振興会連合会(日整連)が車種と作業ごとに定めている点数で、日整連のFAINESの説明では、標準作業時間に換算係数を掛けたものとされています。標準作業時間は、実務経験3年程度の三級整備士が1人で作業する場合を基準にし、6分を0.1時間として数えます。多くの工場は、この点数に自社で決めた単価を掛けて工賃を出しています。
- レバレートはいくらに設定すればよいですか?
- レバレート(1点あたりの工賃単価)に公的な決まりはなく、各工場が人件費や設備の費用、地域の相場を見て決めています。この記事では金額の目安を示していません。自社の整備料金表と見積書で同じ単価を使い、変えるときは料金表の掲示とウェブサイトの掲載も同時に直します。
- 作業の途中で追加の修理が必要になったらどうしますか?
- 国土交通省の通達「自動車整備事業の取扱い及び指導要領」では、概算見積りを渡した後に見積金額が変わる整備が見つかった場合、あらかじめ了解を得ているときを除き、追加整備の内容と変更後の概算見積りを連絡して承諾を得てから作業するとされています。工場側の控えには、承諾の年月日、追加の内容、変更後の金額を記録しておきます。
- 無料の自動車見積ソフトと整備ソフトの見積機能はどう違いますか?
- 無料の見積ソフトやエクセルのテンプレートは、見積書を1枚作って印刷するところまでが中心です。整備ソフトの見積機能は、顧客と車両のデータから見積書を作り、そのまま請求書や整備の履歴に切り替えられる製品が多くあります。標準作業点数や純正部品価格のデータを引けるかは製品と契約によって違うため、見積りを取るときに確かめてください。
- 整備システムと車両販売システムは、まとめて選んだほうがよいですか?
- 車検・点検の入庫と中古車・新車の販売を両方行う工場では、自動車整備システム(自動車整備ソフト)と車両販売システム(車販ソフト)が同じ顧客データを使えるかを確かめると二重入力が減ります。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなし(月払)で始められるかも確認してください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月確認)。法令や通達は改正されることがあるため、最新の内容は公式の情報で確かめてください。
- e-Gov法令検索 道路運送車両法施行規則(第62条の2の2 自動車特定整備事業者の遵守事項):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- 国土交通省通達「自動車整備事業の取扱い及び指導要領」(大阪府自動車整備振興会 掲載):https://www.oaspa.or.jp/data/news/2025/08/04/2025080410270278_f.pdf
- 日本自動車整備振興会連合会 FAINES「点数表の見方」:https://faines.jaspa.or.jp/enduser/system/files/static/score/score_manual.html
- 日本自動車整備振興会連合会 2024年版標準作業点数表(CD-R):https://www.jaspa.or.jp/association/publication/tensuu24.html
- 国税庁 タックスアンサー No.6201 非課税となる取引:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm
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