電子車検証・OSSに対応した整備システムの見分け方|取込方式と申請の確認点
電子車検証とOSSへの対応は、整備システムのカタログでは「○」1文字で済まされがちですが、中身は製品によってかなり違います。車検証の情報をQRコードで読むのか、閲覧アプリが書き出したファイルを取り込むのか、APIで受け取るのかで、受付の手間は変わります。OSSも、電子保安基準適合証の発行から継続検査の申請まで同じ画面で済むのかを確かめる必要があります。この記事では、国土交通省と軽自動車検査協会の資料で電子車検証とOSSの仕組みを確かめ、日本カーネットの40製品比較表の集計とメーカー公式の記載をもとに、対応している整備システムの見分け方を整理します。
この記事で確認した一次情報:国土交通省(電子車検証特設サイト、車検証電子化の省令改正、OSS、整備主任者研修教材)、軽自動車検査協会(自動車検査証の電子化、令和7事業年度の主要施策)、各メーカー公式サイト。確認日は2026年10月です。
電子車検証とは(ICタグに記録される情報)
電子車検証とは、券面に基礎的な情報だけを印字し、それ以外の車検証情報をICタグに記録する自動車検査証のことです。登録自動車は2023年1月4日から、軽自動車は2024年1月から交付が始まりました。国土交通省の電子車検証特設サイトによると、券面には自動車登録番号(車両番号)、車台番号、交付年月日、使用者の氏名または名称などが記載されます。一方、自動車検査証の有効期間、所有者の氏名と住所、使用者の住所、使用の本拠の位置はICタグにだけ記録されます。ICタグの中身は、国が提供する車検証閲覧アプリで確かめます。閲覧アプリはスマートフォン、Androidのタブレット、ICカードリーダーをつないだWindowsのパソコンで動き、コピーした車検証からは読み取れません。券面で確認できない事項を補う「自動車検査証記録事項」の窓口交付は、記載事項の変更がない手続で2025年12月末に、そのほかの手続も2027年12月末に終わる予定です。
| 記載場所 | 主な情報(国土交通省の説明) |
|---|---|
| 券面 | 自動車登録番号(車両番号)、車台番号、交付年月日、使用者の氏名または名称など |
| ICタグのみ | 自動車検査証の有効期間、所有者の氏名と住所、使用者の住所、使用の本拠の位置など |
| 自動車検査証記録事項(紙) | ICタグの内容を確認するための補助の書面。窓口交付は2025年12月末と2027年12月末で段階的に終了 |
お客様向けの詳しい説明は電子車検証の解説サイトにまとめています。
整備システムに電子車検証を取り込む3つの方法
整備システムが電子車検証に対応しているというとき、その中身は大きく3つの取込方法に分かれます。1つ目は券面の二次元コード(QRコード)をリーダーで読む方法です。2つ目は車検証閲覧アプリでICタグを読み取り、アプリが書き出したファイルを整備システムに取り込む方法です。軽自動車検査協会は、閲覧アプリでJSON、XML、CSVの形式でデータを出力できると案内しています。3つ目はAPIを使う方法で、国土交通省と軽自動車検査協会は事業者向けに車検証情報を取得するAPIを提供しています。APIに対応していれば、ファイルを保存して選ぶ手間がなくなります。日本カーネットのDREAM POWERの例では、2023年1月17日のVol612で閲覧アプリが出力するJSONファイルの取込に対応し、2024年4月のVol624からは閲覧アプリで読み取った情報を電子車検証の管理番号を入れて取得するAPI連動に対応しました。
| 取込方法 | 受付での作業 | 確かめること |
|---|---|---|
| 券面のQRコード | リーダーで二次元コードを読む | リーダーの種類と費用。読み取れる項目の範囲 |
| 閲覧アプリの出力ファイル(JSON、XML、CSV) | アプリでICタグを読み、ファイルを保存して取り込む | どの形式に対応しているか。パソコン版とスマートフォン版のどちらで読むか |
| API | アプリで読み取った後、整備システムの画面で取得する | 国のAPIの仕様変更に合わせた更新が提供されるか |
APIは国側の切替に合わせた更新が必要になる
DREAM POWERのヘルプでは、2026年9月7日の国土交通省側のAPIの切替に伴い、VOL651へのバージョンアップが必要になったと案内しています。APIで連携する製品を選ぶときは、こうした切替のたびに更新が届くか、契約期間中のアップデートに含まれるかを確認してください。
OSSと電子保安基準適合証(継続検査OSS)
OSSとは自動車保有関係手続のワンストップサービスのことで、運輸支局、警察署、県税事務所などに出向いて行っていた検査、登録、保管場所証明などの手続と税や手数料の納付を、オンラインでまとめて行える仕組みです。整備工場にかかわりが深いのは継続検査のOSSで、登録自動車でも軽自動車でも使えます。指定工場がOSSで継続検査を申請するには、紙の保安基準適合証に代わる電子の保安基準適合証が前提になります。軽自動車は軽自動車検査協会が2019年5月に継続検査OSSの運用を始め、2025年3月時点のオンライン利用率は47.2%、2023年1月に始まった新規検査OSSは22.7%と公表されています。国土交通省は、2028年1月以降、運輸支局等の検査窓口で紙の保安基準適合証と紙の自賠責保険証明書の取扱いを原則として廃止する予定を示しています。指定工場では、電子保適を出せる整備システムかどうかが数年のうちに必須の条件になります。
OSSの手続全般は自動車OSSの解説サイトで詳しく紹介しています。
記録等事務の委託と整備システム
記録等事務の委託とは、継続検査のときに電子車検証のICタグへ新しい有効期間を記録し、検査標章を印刷する事務を、一定の要件を備えた事業者が国や軽自動車検査協会から委託を受けて行う制度です。国土交通省は2022年5月20日に関係省令の改正を公布し、委託の申請受付は2022年5月23日から始まりました。ICタグの記録情報の書き換えだけで済む場合、オンラインで申請すれば運輸支局等への出頭が要らなくなります。軽自動車では2024年1月から同じ仕組みが始まり、軽自動車検査協会によると2025年2月末時点で委託を受けた事業所は9,424でした。委託を受けた工場は、OSSで継続検査を申請し、審査が済んだ後に自社でICタグを書き換え、検査標章を印刷して納車まで進められます。整備システム側では、OSS申請のデータ作成と、書き換えに使う機器や国のシステムとの間で車両情報を二重に入力しないで済むかが確認点です。
1. 受付
電子車検証のICタグ情報を整備システムに取り込み、前回の履歴と照合します。
2. 点検整備と検査
点検整備記録簿を作成し、自社の検査員が保安基準への適合を確かめます。
3. 電子保適の発行とOSS申請
電子の保安基準適合証を発行し、継続検査をOSSで申請します。
4. ICタグの書き換えと標章の印刷
記録等事務の委託を受けていれば、自社で有効期間を記録し、検査標章を印刷します。
5. 次回満了日の登録
新しい有効期間を整備システムに反映し、次の車検案内の予定を作ります。
電子車検証とOSSに対応した整備システムの見分け方
日本カーネットの比較表で、電子車検証への対応に○が付いている製品は40製品中9製品、OSS(電子保適、ワンストップサービス)への対応に○が付いている製品は11製品です。両方に○が付いている製品は9製品で、OSSだけに○が付いている製品が2製品あります。表の「-」は比較表に記載がないという意味で、未対応とは限りません。○が付いた製品でも取込方法やOSSで扱える手続は違うため、公式の書き方まで見ます。ブロードリーフがSF.NSとスーパー検査員.NSについてOSSとの連携と電子保安基準適合証への対応を書き、DICは新一等書記官の電子車検証連動を「車検証閲覧アプリと連携」と説明し、自賠責の発行、電子保適の交付、継続検査の申請を同じシステムで行うOSS&e-HOTEKIを紹介しています。
EBEは整備システムの特長に継続検査OSS対応と車検証電子化対応、QRコード車検証読取機能を挙げ、タジマは一新多助smart2をOSSの電子保安基準適合証、継続検査、E-jibaiとの連携に対応済としています。
| 販売店に聞く質問 | 答えで確かめること |
|---|---|
| 電子車検証の情報はどの方法で取り込めますか | QRコード、閲覧アプリのファイル(JSON、XML、CSV)、APIのどれか。軽自動車も同じ方法か |
| OSSでは何の手続を申請できますか | 継続検査だけか、新規登録や移転登録なども扱えるか |
| 電子保適の発行は追加の契約が要りますか | オプションの有無と費用 |
| 記録等事務の委託を受けた工場向けの機能はありますか | ICタグの書き換えや検査標章の印刷と、どうつながるか |
| 国のAPIや様式が変わったときの更新は | 契約期間中のアップデートに含まれるか |
比較表の各製品の記載は整備システム製品一覧で、全体の比べ方は整備システム比較表で確認できます。車検の業務全体の流れは車検システムとはで扱っています。
全40製品の整備システム比較表を無料でダウンロード
電子車検証の取込方法やOSS申請の流れで、いまのシステムに不満がある点をお聞きし、比較表の40製品からご案内します。指定工場か認証工場か、軽自動車の割合も教えていただくと候補を絞りやすくなります。
電子車検証とOSSに関するよくある質問
- 電子車検証はいつから交付されていますか?
- 登録自動車は2023年1月4日から、軽自動車(検査対象軽自動車)は2024年1月から電子車検証が交付されています。券面には登録番号や車台番号などの基礎的な情報だけが記載され、有効期間や所有者の住所などはICタグに記録されます。
- 車検証のコピーから車検証閲覧アプリで情報を読み取れますか?
- 読み取れません。国土交通省の電子車検証特設サイトのよくある質問で、コピーした車検証からは閲覧アプリで情報を読み取れないと案内されています。ICタグを読むには原本が必要なので、受付で原本を預かるか、お客様にアプリで読み取ったデータを出してもらう段取りを決めておきます。
- 記録等事務の委託を受けると何ができますか?
- 委託を受けた事業者は、継続検査のときに電子車検証の有効期間の記録の書き換えと検査標章の印刷を自社で行えます。オンラインで申請すれば、運輸支局や軽自動車検査協会の窓口に出向く必要がなくなります。軽自動車検査協会によると、2025年2月末時点で軽自動車の委託を受けた事業所は9,424でした。
- OSS対応の整備システムなら、どの手続もオンラインでできますか?
- 整備システムの「OSS対応」は、多くの場合、継続検査のOSS申請と電子保安基準適合証の発行を指します。OSSのポータルでは新車新規登録、移転登録、変更登録、抹消登録などの手続も案内されていますが、整備システムがどこまで扱えるかは製品ごとに違います。必要な手続を挙げて販売店に確かめてください。
- 紙の保安基準適合証は今後も使えますか?
- 国土交通省は、2028年1月以降、運輸支局等の検査窓口で紙の保安基準適合証と紙の自賠責保険証明書の取扱いを原則として廃止する予定を示しています。指定工場で紙の適合証を使っている場合は、それまでに電子保適を使える整備システムかを確認しておくと安心です。
- 整備システムと車両販売システムは、まとめて選んだほうがよいですか?
- 車検・点検の入庫と中古車・新車の販売を両方行う工場では、自動車整備システム(自動車整備ソフト)と車両販売システム(車販ソフト)が同じ顧客データを使えるかを確かめると二重入力が減ります。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなし(月払)で始められるかも確認してください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月確認)。製品の機能は各メーカー公式サイトの記載によります。
- 国土交通省 電子車検証特設サイト 電子車検証について:https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/user/about/
- 国土交通省 電子車検証特設サイト よくあるご質問:https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/user/faq/
- 国土交通省 報道発表 道路運送車両法施行規則等の改正について(令和4年5月20日):https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha06_hh_000131.html
- 国土交通省 自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS):https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk6_000001.html
- OSSポータル 申請が行える手続の種類:https://www.oss.mlit.go.jp/portal/beginner/tetsuduki-shurui/
- 国土交通省 令和8年度 整備主任者研修 法令研修 全国共通教材:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/002008010.pdf
- 軽自動車検査協会 自動車検査証の電子化:https://www.keikenkyo.or.jp/information/computerization/
- 軽自動車検査協会 令和7事業年度における主要施策について:https://www.keikenkyo.or.jp/Portals/0/files/topics/250425kisyashiryou.pdf
- 日本カーネット DREAM POWER FAQ 電子車検証 連動手順(JSONファイル)(日本カーネット提供資料)
- 日本カーネット DREAM POWER FAQ 電子車検証 連動手順(API)(日本カーネット提供資料)
- 日本カーネット DREAM POWER FAQ VOL651へのバージョンアップのお願い(日本カーネット提供資料)
- ブロードリーフ 自動車関連業向け商品一覧:https://www.broadleaf.co.jp/products/auto/
- ディーアイシージャパン 整備システム:https://www.dicjapan.co.jp/products/maintenance-system/
- ディーアイシージャパン OSS&e-HOTEKI:https://www.dicjapan.co.jp/products/oss-ehoteki/
- EBE 整備システム:https://www.e-b-e.co.jp/seibi
- タジマ 一新多助smart2:https://www.tjk.co.jp/product/%e4%b8%80%e6%96%b0%e5%a4%9a%e5%8a%a9/
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